業務の属人化を解消するには|原因と、現場を動かす 4 つのステップ
業務の属人化を解消するには、最初に、誰がどの業務を担当しているかを一覧にします。次に、影響の大きい業務から手順を残し、後任が使えるかを確かめます。進め方は、可視化、優先順位付け、形式知化、定着の 4 つのステップです。
この記事では、日ごろから担当者だけに情報を集めない仕組みを扱います。属人化の原因、4 つのステップ、つまずきやすい点、3 か月の進め方を説明します。引き継ぎが進まない原因は 引き継ぎがうまくいかない 5 つの原因と対策、足りない資料の補い方は 引き継ぎ資料の改善は、どこから手を付けますか で説明しています。
業務の属人化とは何ですか
業務の属人化とは、業務の内容や進め方を、特定の担当者しか把握していない状態です。担当者がいなくなった時点で、その業務は止まります。
| 用語 | 意味 | 属人化との関係 |
|---|---|---|
| 属人化 | 特定の人しか業務を進められない状態 | 解消する対象 |
| 標準化 | 誰が担当しても、同じ手順と品質で進められる状態 | 属人化の反対 |
| 平準化 | 業務の量や負荷を、担当者の間で均等にする事 | 標準化の後に進めやすい |
属人化を放置すると、何が起きますか
担当者の休職や退職で業務が止まり、ノウハウが失われます。影響は 4 つです。
- 業務の遅れ:担当者がいない時に、判断と対応が止まります。
- 品質のばらつき:担当者ごとにやり方が違い、品質が安定しません。
- 中身が見えない:業務の中身が見えず、問題に気づきにくくなります。
- 負担の集中:特定の担当者に業務が集まり、休暇と育成が難しくなります。
引き継ぎの不足と、人手不足の影響を示す、別々の調査が在ります。大企業の管理職 200 名への調査では、引き継ぎで暗黙知が「十分に共有された」と答えた人は 19.5% でした(株式会社 taiziii)。2025 年度の人手不足倒産 441 件のうち、従業員の退職が引き金になった型は 118 件でした(帝国データバンク)。この件数は、属人化が原因の倒産を数えた物ではありません。出典は BATON データ にまとめています。
なぜ、日常の業務の中で属人化が起きますか
属人化は、個人の怠慢で起きるのではありません。忙しさ、仕組みの不足、システムの構造が重なって起きます。
| 分類 | 原因 | 中身が見えなくなる仕組み |
|---|---|---|
| 業務量 | 忙しく、共有が後回しになる | 記録が残らないまま、業務が回り続ける |
| 専門性 | 業務が難しく、担当者が限られる | 判断の基準が、担当者の頭の中にとどまる |
| システム | 長年使っている古い基幹システムに頼っている | 操作と例外の処理を知る人が限られる |
| 引き継ぎ | 前任からの引き継ぎが足りない | 分からない点が、後任の代でさらに増える |
BATON を使った人からは、「人によって情報の細かさがばらばらで、困っていました」という声がありました。
属人化を解消する 4 つのステップ
可視化 → 優先順位付け → 形式知化 → 定着の順に進めます。4 つを同時に進めず、順番を守ります。
1. すべての業務を、どのように洗い出しますか
担当者への聞き取りだけに頼らず、実際に使われた書類と記録から洗い出します。
- 誰が、どの業務を、どの頻度で行っているかを一覧にします。
- 進行中の案件だけでなく、定期的に発生する業務と、関係者の連絡先も入れます。
- 書類から分からない事は、推測で埋めません。「不明」として分けます。
分かっている事と分からない事を分けると、どこに危うさが在るかが見えます。PC に残った書類から業務を把握する手順は、退職者の PC から業務内容を把握する方法 で説明しています。
2. どの業務から先に手を付けますか
担当者がいなくなると影響が大きく、今も動いている業務から始めます。
- 最優先:進行中の案件、取引先への対応、締め切りの在る定例の業務
- 次:月次・年次で繰り返す定型の業務
- 後:発生が少なく、影響の範囲が小さい業務
3. 誰もが分かる手順書を、どう作りますか
若手がたたき台を作り、ベテランが確かめる分担にします。ベテランの負担と抵抗感を抑えられます。
| 工程 | 担当 | 作業 |
|---|---|---|
| 1. 素材を集める | 若手 | 実際の書類・メール・画面から、手順を書き起こす |
| 2. たたき台を作る | 若手 | 手順と判断の要点を、文と画像で整理する |
| 3. 確かめる | ベテラン | 誤り・例外の処理・判断の基準だけを指摘する |
| 4. 試す | 後任の予定者 | 手順書だけで業務を行い、分からない点を記録する |
4. 情報共有の仕組みを、どう定着させますか
情報をためるだけでなく、後任が必要な時に見られる状態で残します。主な手段を、4 つのステップで比べます。
| 手段 | 可視化 | 優先度の判断 | 形式知化 | 定着 |
|---|---|---|---|---|
| 前任への聞き取り | 本人の記憶に頼る | 本人の主観に頼る | 口頭なので残りにくい | 退職後は、連絡が取れるかに左右される |
| 手順書を新しく作る | 作る人が把握する範囲だけ | 作る時に判断が要る | 文書として残る | 更新が止まると古くなる |
| 社内 Wiki・共有ツール | 投稿された範囲だけ | 別に整理が要る | ためられる | 投稿の習慣が前提 |
| BATON | 残った書類とデータから、案件・定期の業務・直近 90 日の動きを整理する | 直近 90 日の動きと、優先して確認する事を整理する | 引き継ぎシート(HTML)と、AI に渡せるデータで渡す | 元の資料との対応を残す |
属人化の解消で、つまずきやすい点
ベテラン社員の協力を得るには、どうしますか
ノウハウの共有を、評価に入れます。次の 4 点を確かめます。
- ノウハウの共有と確認が、人事評価の項目に入っているか
- 個人の成果だけでなく、チームの成果も評価の対象か
- 業務を抱え込んでいる事が、高く評価されすぎていないか
- 共有の目的(休暇・負担の軽減・育成)を、チームに説明しているか
手順書が、作っただけで使われなくなるのはなぜですか
後任が実際に使えるかを試しておらず、更新も止まっているためです。試す工程と、更新する担当と頻度を、先に決めます。
3 か月の進め方
忙しい現場では、3 か月を 1 つの区切りにして、段階を分けて進めます。次の表は目安です。
| 段階 | 時期の目安 | 主な作業 | できる物 |
|---|---|---|---|
| 1. 棚卸し | 第 1〜2 週 | 業務と書類の洗い出し、不明な点の区別 | 業務の一覧 |
| 2. 優先順位付け | 第 3 週 | 影響の大きさと頻度で、順番を決める | 着手のリスト |
| 3. 形式知化 | 第 4〜8 週 | 若手が作り、ベテランが確かめ、後任が試す | 手順書 |
| 4. 定着 | 3 か月目から | 使われ方を確かめ、更新する | 改善の記録 |
BATON でできる事
BATON は、残された書類やデータから、仕事の全体像、大きな業務フロー、直近の仕事を整理します。分からない事は分からないまま残し、元の資料へ戻れる形で引き継ぎ情報を作ります。4 つのステップのうち、最初の可視化で使えます。
- 使い道:BATON は、業務の引き継ぎに使います。人事評価や責任追及を主な目的とする利用はできません。
- 整理する物:取引先と進行中の案件、金額や契約期間、定期的に行っていた業務、直近 90 日の動き、元の資料との対応
- 本人がいなくても使えます:本人の回答を必須にしません。残った資料から分かる範囲を整理します。
- 渡す物:引き継ぎシート(HTML・印刷可)、AI に渡せるデータ、処理の記録
- データの扱い:フォルダの読み取りと確認は、ブラウザの中で行います。整理の時だけ、確認した本文の抜粋を弊社指定の AI に送ります。学習には使われない設定です。元のファイルは変更も削除もしません。
- 値段:法人向けは 50,000 円(税別)からです。全部込みのお得なプランは 90,000 円(税込 99,000 円)です。1 名・1 回の支払いで、月額はありません。
よくある質問
IT ツールを入れれば、属人化は自動で解消されますか。
ツールを入れるだけでは解消されません。先に業務を可視化して手順を整理し、その後にツールで共有します。
業務を標準化すると、個人の持ち味が消えませんか。
消えません。定型の部分を標準化すると、担当者は判断と改善に時間を使えます。
専門性の高い業務でも、手順書にできますか。
できます。判断の手順をすべて文書にできなくても、関係者・見る書類・判断の分かれ目を整理すれば、後任は動き始められます。
何から手を付ければ良いか、分かりません。
まず業務の一覧を作ります。進行中の案件と、締め切りの在る定例の業務から始めます。
外部のサービスに頼むと、費用はどのくらいですか。
BATON の法人向けは 50,000 円(税別)からです。全部込みのお得なプランは 90,000 円(税込 99,000 円)です。1 名・1 回の支払いで、月額はありません。
引き継ぎの期間がほとんど無い場合でも、使えますか。
使えます。『整理を始める』から、通常は数時間で引き継ぎ資料ができます。混雑時は 1〜2 日です。資料の量で前後します。引き継ぎが無いまま退職者が出た時の対応は、退職者が引き継ぎしない場合、会社側は何をすればいい? で説明しています。
まとめ
- 担当者の記憶ではなく、実際の書類から業務を洗い出します。
- 影響の大きさと直近の動きで、手を付ける業務を絞ります。
- 若手が作り、ベテランが確かめる分担で、手順書にします。
- 評価と更新の仕組みを合わせて、使われ続ける形にします。